女子高生にして美少女アイドル、麻宮アテナ。大きく魅力的な瞳、愛らしい微笑み、抜群の
歌唱力とダンス。そしてファンの応援を大切にする清純な心で、大人気であった。
「アテナちゃん!! お疲れ様!!」
「はーい!! お疲れ様でした!!」
コンサートの仕事を終えホールの廊下を歩くアテナに、スタッフが挨拶をする。アテナは
それに明るく挨拶を返した。アテナは楽屋に戻ると、椅子に腰を下ろしてくつろぐ。
「ふう・・・ファンの皆さんとの一体感・・・最高の快感ねっ☆」
アテナは心地よい疲労感をしばし楽しんでから、ステージ衣装を脱いで制服に着替えた。
カラーの胸の部分に大きなブローチをあしらった変形のセーラー服に、チェックの超ミニ
スカートという姿のアテナは、どこにでもいる普通の女子高生であった。アテナは仕上げに
簡単な変装として眼鏡をかけると、荷物をまとめて楽屋をあとにする。そしてアテナは裏口へ
向かって人の少ない通路を進んでいた。すると辺りに不意に黒い気が垂れ込め、人通りが
途絶える。アテナが少し訝しげに辺りを見回していると、黒のスーツを着た男が現れた。
「・・・お待ちしておりました。麻宮アテナさん」
男が言った。雰囲気は明らかに不審者だが、アテナは取りあえずスマイルで対応する。
「サインでしたら、色紙お願いしますね☆ ええっと・・・ペンはどこだったかしら・・・」
旺盛なサービス精神を見せるアテナ。しかし、男はあからさまに落胆の色を示し、独り言を言う。
(低俗だ・・・こんなアイドルを「格闘家の石像」コレクションに加えたいなどと・・・)
アテナにはその呟きが聞こえなかったのか、いまだにペンを探して鞄をごそごそとやっている。
男は咳払いをすると、声を大きくして言った。
「我が主が、貴方の体をご所望です。私と共に来て頂きたい」
「・・・? それは・・・どういうことですか?」
アテナはその言葉に顔を上げ、男にそう尋ねた。
「我が主が、貴方を秘蔵コレクションの一つに加えたいと申しているのですよ」
「もし・・・行かないといったら・・・?」
「その時は、少々痛い目に遭って頂くことになりますが」
男はそう言うと、口の端をニヤリと少し歪めた。アテナはしばらく険しい視線で男を睨み
付けていたが、やがて、その表情を緩めた。
「ごめんなさいね。私、コンサート直後でとっても疲れているんです。せっかくのご招待
ですけど、お断りさせてもらいますね」
アテナはそう言って、クスッと可愛らしく微笑んだ。男はアテナの返答に、再びニヤリと
いやらしく笑う。
「では仕方ない。いや、むしろ私は好都合だ。主の高尚なコレクションに何の力も無い
アイドルごときが加わるということに、私は不満を持っていた。力ずくを名目に貴方を
潰せば、貴方がコレクションに加わる価値の無い人間であると我が主に理解して頂ける
かも知れないからな」
男がその本性をあらわしたが、アテナは別段動じる様子を見せない。むしろその様子は
楽しそうにも見える。アテナはかけていた眼鏡を外し、鞄にしまって言う。
「私としては穏便に済むに越したことはないんですけど、そうもいかないみたいですね。
あーあ、真っ直ぐお家に帰ってコンサートの余韻に浸る予定、変更しなくちゃいけないわ」
「そういうことだ。どのみち家にはもう戻れないがな・・・行くぞ!!」
男はアテナに猛然と突進し、思いきり殴りかからんと拳を振りかぶった。しかし、その時には
もうすでに、アテナの甘くキュートなかけ声が男の耳に響いていた。
「えいっ!!」
ドカアッ!!
「ひぎゃあっ!?」
程良く肉のついた、美しいアテナの右脚が勢い良く跳ね上がり、アテナの純白のパンティが男の
視界に白い華を咲かせる。そして、次の瞬間アテナのキックが男の横面を捉えて砕いた。凄まじい
衝撃音とともに男の口から真っ赤な血煙が広がり、歯がへし折られて飛び散る。さらに、男の顔が
横向きに弾かれた所へ、間髪を入れずアテナの左脚のローファーが襲った。
バシイッ!!
「があっ!!」
男の顔が今度は反対方向に弾け飛ぶ。口から血と唾液の混ざったネバッとした液体が噴き出し、
地面に落ちて染みを作った。男はその一撃に大きくよろめく。アテナは続けざまに膝蹴りを
繰り出した。
ドスッ!!
「ぐっ!!」
アテナの膝が男の腹に食い込む。男は思わず体を屈め、頭が低く下がった。アテナはすかさず、
丁度いい高さに来たその顔面を、スカートが捲くれあがるのも気にせずに力一杯蹴り上げる。
「はあっ!!」
ドカアッ!!
「がはあっ!!」
アテナの脚先が頭のはるか上まで到達するほど豪快に蹴り上げられ、男の顔が千切れんばかりに
跳ね上がる。そして、男の口から鮮血が霧のように吹き出した。前傾だった男の体は、今度は後ろに
大きくのけぞる。
「ち・・・畜生・・・」
男はどうにかのけぞりから回復し体勢を整えようとするが、アテナはそれを待たずに右脚を
踏み出して背を向けつつ左脚を思い切り高く蹴り上げ、上半身を少し後ろに倒しながら小さく
跳躍した。そしてアテナは空中での開脚姿勢のまま体を思いきり旋回させる。まずアテナの
左脚が美しい軌跡を残して男の頭にめり込み、さらに続けて右脚がアテナの白い下着を中心に
大きい弧を宙に描きながら男の脳天に突き刺さった。
「はいっ!!」
バキッ!! メリッ!!
「ぐぎゃあああっ!!」
アテナがミニスカートを大胆に翻しながら放った、アクロバティックな二段の跳び踵落としが
斧のような破壊力で男の意識を飛ばし、地面に叩き伏せる。男は頭部への打撃による強烈な
ダメージで暫し地面に突っ伏していた。やがて意識を取り戻した男は立ち上ろうとするが、
脳天に走る凄まじい激痛に耐え切れずうずくまって頭を抱え込む。
「はあっ・・・はあっ・・・くそっ・・・」
男は荒い息をつきながらうめくように毒づいた。男はアテナの身体能力の高さを実感しつつも、
なんとか反撃しようと体を起こして片膝をつく。しかし目の前にはアテナが立ちはだかり、男を
見下ろしていた。アテナのチェック柄の超ミニスカートからは魅惑的な純白のトライアングルが
チラリと覗いており、男はその健康的な色気につい見入ってしまう。すると、アテナはニコッと
可愛らしく微笑んだ。
「フフッ、私、アイドルなんですから、そんなローアングルから見つめちゃダメですよ☆」
アテナはそう言うが早いか、その綺麗な膝を高く速く蹴り上げた。
メシャアッ!!
「ぶべえっ!!」
男の顔面に、アテナの強烈な膝蹴りがめり込んだ。骨が砕けたような破壊音が響き渡り、歯が
数本へし折られて地面に転がった。そして男は鼻血を吹き出しながら吹っ飛ばされ、地面を二回
三回と転がって大の字に倒れる。アテナのパンティは膝蹴りのポーズで完全に露出していたが、
アテナは蹴りの余韻を楽しむようにしばらくそのポーズを維持すると、ゆっくりと脚を下ろした。
「がああ・・・」
男は何とか体を起こすと、溢れる鼻血を手で押さえて激痛に呻き声を上げる。一方的に攻撃を
食らい続けていた男の戦意は、ほとんど失われていた。その男に歩み寄って行くアテナの顔は、
女子高生でもアイドルでもない全く別の顔、悪を討ち滅ぼす超能力戦士の顔に変わっていた。
アテナは男を見下ろして言う。
「そろそろいい頃合ですね・・・貴方に訊きます。貴方をここに差し向けたのは誰ですか?」
アテナの語気が強まる。再び男の視界にアテナの下着が入るような位置関係になったが、それを
気に留める様子もなく堂々と男の目の前に仁王立ちするアテナの威厳に、男はただ口をつぐんで
怯えた目でアテナを見上げるのみであった。
「黙秘ですか・・・? まあ、無理にとは言いません。そんなことを、簡単に話すわけにも
いかないでしょうしね」
アテナはそう言うと、口元に笑みを浮かべる。男は言い知れぬ恐怖を本能的に感じ、大きく
目を見開いた。アテナはその笑みを絶やさずに言う。
「ところで、私が「格闘家の石像」コレクションに加わること、まだ不満ですか?」
「!?」
最初に呟いた独り言を聞かれていたことに男は動揺する。その様子を楽しみながら、アテナは
核心をつく。
「実は私の知り合いにも同じコレクションをしてる人がいるんですよ。でもその人は 格闘家を
そのまま石にして飾るんです。「R」って人なんですけど、最低だと思いませんか?」
アテナが口にしたアルファベットに、男はビクッと反応した。どうやら首謀者まで見通されて
いるとは思っていなかったらしい。
「どっ・・・どうして!! どうしてそこまで知ってるんだ!!」
「やっぱりそうだったのね・・・あの時私が止めを刺したのにまだ生きていたなんて・・・
あの悪趣味なコレクション、いつまで続けるつもりなのかしら」
アテナは普段の彼女からは想像もできない冷徹な表情をその端正な顔に宿し、吐き捨てるように
言った。男はアテナの言葉にパニック状態に陥る。
「そんなっ・・・聞いてないっ!! そんな話、ルガール様から聞いてないぞ!!」
取り乱す男を冷たい視線で見下ろしながら、アテナが言う。
「貴方などただの捨て駒だということだわ。彼はそういう男よ」
男が絶句する。アテナはふうっと一つ息をつくと、改めて口を開く。
「さて・・・貴方から得られる情報はもう何一つ無いでしょうし、そろそろ地獄へ送って
あげることにしますね」
アテナは丁寧な口調に戻って言った。男は最初何を言われたのか分からない様子だったが、
目の前の美少女の口からさらっと発せられたその言葉の意味をやっと理解し狼狽する。
「なっ・・・嘘だろ・・・? 勘弁してくれ!! そうだ!! ルガール様の居場所を教える!!
これはお前も知りたいだろう!?」
「貴方が戻らなければ招待状が私にも届くでしょうから、聞く必要はありません。それに・・・」
アテナはそこで言葉を切り、ニッコリと微笑んだ。
「ファンの皆さんとの交流の場を土足で踏み荒らすような人間は、私、許さないんです☆」
アテナはそう言うと、ゆっくりと着ているセーラー服に手をかけた。アテナの体に淡い光が宿る。
「麻宮アテナ・・・行きます☆」
可愛らしくも凛とした声とともに、服を一気に引き脱ぐアテナ。一層強い光がアテナを包み、
その中に一瞬だけ神々しいアテナの裸体が浮かんだ。そして、その次の瞬間には、アテナは
戦闘時のコスチュームに変身していた。2002年度の新作コスチュームだったが、普通の
シューズではなくヒールの高いロングブーツを履いているのがひときわ目を引き、スパッツも
着用していなかった。アテナはニッコリとアイドルの微笑みを浮かべて言う。
「このコスチューム、どうですか? 貴方の最期の記念に、少しアレンジしてみました☆」
男は目の前で変身を遂げたアテナに見とれてしまう。ヒールの高いロングブーツがアテナの
美しさを引き出し、変身前より一回り大人っぽく演出していた。アテナは自分の姿に見入る
男を見て満足そうに微笑むと、男に宣告する。
「では、そろそろお仕置きの時間ですよ☆ 覚悟、できました?」
アテナの姿に見とれていた男はその言葉で現実に引き戻され、大きくかぶりを振る。
「ひっ!! やめろっ!! 助けてっ!!」
「ルガールの刺客にかけるような情けは無いです。貴方に相応しい、凄惨な死をプレゼント
してあげますね」
アテナはそう言うと、自らのサイキックパワーを脚に送っていく。ロングブーツが超能力の光を
纏った。
「お願いだ・・・命だけはたすけて・・・」
男は必死で命乞いを続けるが、もうすでにアテナのブーツは美しい光の残像を描き始めていた。
「えいっ!!」
ドシュッ!! ビシャアッ!!
「ふびゃあああっ!!」
アテナのキックが炸裂した瞬間に発せられた悲鳴が、男の遺言になった。サイキックパワーを
纏ったヒールが男の顔に突き刺さり、増幅された破壊力で男の顔面から頭部を残酷に粉砕して
目玉を抉り出し脳や脳漿を飛び散らせた。
バシュウッ!!
アテナがそのまま脚を天高く蹴り上げると、そのキック力で頭部は胴体から千切れ飛んだ。
頭部を失った胴体から噴出する夥しい血と、露出したアテナの純白のパンティが、鮮やかな
コントラストを生み出す。男の胴体は地面にゆっくり崩れ落ちた。アテナはゆっくりと蹴り脚
を地に付けると、ポーズを決めて言い放った。
「光の戦士・アテナは、決して負けないわ!!」
* * *
処刑が終わり、静寂が戻る。アテナは変身を解き、元のセーラー服姿に戻って眼鏡をかけた。
普通の女の子の顔に戻ったアテナだが、その心の中で強く決意していた。
(ルガール・・・今度こそ私の手で引導を渡してあげるわ)
それから数週間後、彼女の元に招待状が届いたが、その手紙には予想通り「R」の印があった。
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